大腸ポリープ
大腸の粘膜から隆起した突起物(腫瘤)はすべてポリープと呼ばれる。ポリープは粘膜などの表面に生じ、原則として茎をもった良性の腫瘤(しゅりゅう)である。
種類と特徴
組織学的には腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに大別されます。
- 線腫(腫瘍性ポリープ)
がん化する。可能性をもった良性の腺腫。大腸ポリープの約80%は腺腫である。
S状結腸・直腸によくできる。99%は内視鏡的に切除できる。
- 大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)
無数(100個以上)の腺腫が発生し、がん化が高率にみられる遺伝子の病気。
ガードナー症候群もこの一種。
非腺腫性ポリープ
がん化することは無い。若年性ポリープ、炎症性ポリープ、過形成ポリープなどが含まれる。
- 若年性ポリープ
幼児、小児の直腸にできやすいポリープ。下血を伴う場合が多い。
- 若年性大腸ポリポーシス
遺伝性で多発するタイプ。
- ポイツーシェガース症候群
皮膚、粘膜の色素沈着を特徴とする遺伝性の多発性ポリープ。
- 炎症性ポリープ
大腸炎が治る過程で、再生粘膜が異常隆起をおこしたもの。
- 炎症性ポリポーシス
炎症性ポリープが多発したもの。
- 過形成ポリープ
高齢者の直腸によくできる比較的小さいポリープ。
発生の仕方により腺管腺腫と絨毛腺腫などに別けられる。
腺腫の大部分は腺管腺腫で、絨毛腺腫は直腸に多いが頻度が低い。
内視鏡によるポリープの治療
- 大腸ポリープのうち腺腫はがん化する可能性があるので、発見されたポリープは内視鏡で摘除することが勧められる。
- がん化したポリープ(早期大腸がん)でもがん病巣が粘膜内にとどまっていれば安全に治療することができる。
- 内視鏡によりポリープを治療する方法にはいくつかの種類がある。
代表的なものとしては「ポリペクトミー」「内視鏡的粘膜切除術」といわれるものがある。これらは病変の形や大きさに応じて使い分ける。
- ポリペクトミー
ポリープの茎にスネアという金属性の輪をかけて、高周波電流を流して切り取る。
- EMR
粘膜の下に薬液を注入し、病変を持ち上げ、スネアをかけて切り取ります。平坦な形のポリープに用いられる。
大腸がんの治療法
- 1
- 早期大腸がん→内視鏡的切除(ポリペクトミー・EMR・ESD)などで治療可能。
- 2
- 進行がん(一部の早期がん)→手術(周囲のリンパと一緒に腸切除)が必要。
手術方法
- 腹腔鏡下に行う手術
5mm~1cmの小さな穴のような創を数カ所つけて炭酸ガスでお腹を膨らまし、手術する空間を作り、小さな創から入れた腹腔鏡と機械を用いてTVモニターを見ながら、手術を行う。術後の痛みや癒着が少なく後遺症が少ないなどの利点がある。
- 開腹手術
他臓器への浸潤などがある場合は、腹部を切開し、直視下で行う。